人は誰しも理想を抱いて生きているものです。しかし、理想は無常であり、常に同じ理想を抱き続けることができる人はごく僅かです。理想とは、心の陰陽に合わせて、刻一刻と変化するものです。

理想を「夢」や「目標」と表現することもありますが、たとえ誰かが夢や目標として理想を明言したとしても、それはその瞬間の理想に過ぎません。明言された理想に基づいて言動を起こしたとしても、その時には違う理想を抱いている可能性があります。その結果、相手が求める理想とは異なる言動をしてしまい、相手に不快な思いを抱かせることがあり、過ちを犯すことになります。相手が明言していたとしても、それを信じて言動を起こすのは安易な考えです。理想は心の陰陽に従い、瞬時に変化するものであり、その変化に合わせた対応が求められるのです。

理想が心の陰陽のままに変化しない、もしくは明言した理想に基づいた言動を受け止められる人も存在します。それは義徳が高い人です。義徳とは、どれほど私利私欲に囚われることがないか、自らで決めた約束をどれほど守ることができるかを示す、五徳のうちの一つの指標です。

尊生道
覚理 怜良命念