理想が異なれば意見が合わず、お互いを理解することも難しくなります。言い争いが起こることもあり、相手に対して理想に従って行動するよう注意したくなることもあるでしょう。しかし、自分の理想がすべて正しいわけではなく、相手が同じ理想を持っているとは限りません。すれ違いや衝突を繰り返すことで、お互いの距離が離れていきます。距離ができて初めて、自らを省みることができます。反省することで、自分の過ちに気づき、理想を押し付けていたと感じて謝罪したくなることもあります。これが対等な立場同士であり、同じ組織に所属していない場合は、謝罪することは良いことでしょう。

しかし、同じ組織に所属している場合は話が変わります。組織内であれば、理想の方向性は一致しているはずです。それにも関わらず理解し合えない場合、それはどちらか一方の問題ではなく、組織の理想を理解していない者が問題です。そもそも理想が異なることが問題であり、そのような人を組織に所属させたことが問題でもあります。組織の理想を押し付けてしまったと自らが過ちを認め、謝罪するのは間違いです。組織は理想のために存在するものです。交流の取れる人間同士であれば、お互いの過失であり、どちらか一方が謝罪するのは間違いです。組織の理想が決まっており、そのために行動できない人がいるならば、その人を責任のない立場にするべきです。

理想の押し付けという問題でも状況により善し悪しというものは変わります。何が善いことで何が悪いことなのかは必ず状況と重ねて考えるようにしましょう。そして人と関わる以上は必ず何かの問題が発生します。交流においてお互いが自らに落ち度がないか考える努力なくして円滑な関係を築くことは不可能です。

尊生道
覚理 怜良命念